2017年の希望が見えた夜


Meryl Streep, accepting her lifetime achievement award. Credit Paul Drinkwater/NBC

Meryl Streep, accepting her lifetime achievement award. Credit Paul Drinkwater/NBC

皆さん、新年明けましておめでとうございます!

ニューヨークの本日の気温は-7℃。この時期、本当に寒いです。私は寒いのが大嫌い。だから、この時期はできるだけ外に出たくありません。しかし、室内にいても全く退屈しないのが、アメリカのテレビ。この時期は、私の大好きなアメリカンフットボールのプレイオフが始まり、アメリカ中が熱狂するスーパーボウルという決勝戦もあります。

また、グラミー賞、ゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞の発表と、エンターテイメントの世界で最も大きな授賞式が次々と開催されます。アメリカを代表する音楽家や俳優さんたちが一堂に集まるわけですから、華やかにならないわけがありません!見ているだけで、ワクワクします!

そんな真冬の日曜日、大好きなアメフトのワイルドカード(特別参加枠)争いに熱狂した後に始まった昨日(1月8日)のゴールデングローブ賞。その中で「ニューヨークタイムズ」が速報を出した素晴らしいスピーチがありました。メリル・ストリープです。彼女は私の大好きな女優さんの一人。先月、私は彼女の最新作「Florence Foster Jenkins」を見たばかりでした。セシル・B・デミル賞(長年にわたって映画界に貢献した人物に贈られる)を受賞したと発表され、とても嬉しく思っていたとき、彼女がスピーチを始めました。「クーリエ・ジャポン」が、すぐに和訳を発表してくださっているので、スピーチの内容は、「こちら」をご覧ください。

このスピーチが、大手新聞社が速報を出すほどの影響を与えた理由は、何だったのでしょう?賛否両論あると思いますが、ここからは、私の考えを書かせてください。

彼女はアート(芸術)を武器として戦線布告したからではないでしょうか?しかも、相手はアメリカ合衆国。次期大統領となるトランプ氏の名前を具体的に出さなかったものの、誰もが「トランプの話」だとわかりました。彼女はニューヨークのお隣の州、ニュージャージー州の出身。オランダ系アメリカ人です。テロリストでもない、海外諸国でもない、これから戦う相手は「アメリカ」であると言ったのです。アートは、神様が人間を愛したがゆえに特別に与えてくださった私達へのギフト。戦うときの武器とするのは拳銃や爆弾ではなく、この神様からもらったギフトである「アート」だと彼女は示しました。

私は年末から年始にかけて、実はずっと心の中がモヤモヤしていました。ここ数年の各国の政治情勢・テロ・自然災害・事件や事故を見ていると「終末期」が連想されてなりませんでした。ゴスペル音楽や聖書を学び、広めていく毎日の中「本当にこれが正しいのだろうか?」と不安になることもありました。そんな私が年末年始にかけて祈り続けていたのは「どうか神様、あなたから私を離れさせないでください」ということでした。このメリル・ストリープのスピーチは、神様が彼女を通して、私と同じような気持ちの人たちにメッセージを送ったように聞こえました。

「素晴らしいアートを作るためには、技術だけではない」と、私はいつも私の主催するボーカルクリニックの中でボーカリストたちに伝えてきました。いくら歌が上手くても、人の心に残らないボーカリストはたくさんいます。プロである以上、またプロになる以上、技術向上は当たり前のこと。しかし、最も大事なことは「ソウル」です。彼女は役者であり、色々な役をこなすためには、色々な人間の心の中を勉強しなくてはなりません。もちろん、その人に実際になることはできません。が、少しでもその人物に近づこうと努力するでしょう。歌も同じだと思います。歌詞の意味を言語で理解するのではなく、その歌詞の意味を心で理解しなくてはならない。

「役者でいられるって、すごい特権じゃない?」メリル・ストリープのスピーチで登場したトミー・リー・ジョーンズの言葉どおり「文化人でいられるって、すごい特権(ギフト)」だと思います。その「神様からのギフトを無駄にしてはならない」と、メリル・ストリープのスピーチに多くのアーティストやジャーナリストがドンと背中を押されたのではないでしょうか?

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「これらのこと(終末期のようなこと)が起こり始めたなら、 からだをまっすぐにし、 頭を上に上げなさい。 贖いが近づいたのです。 」(新約聖書ルカ 21:28)

困難な時代に見えてきた今、私たちはうつむくのではなく、頭をあげるべきなのです。神のために戦うべき相手がいるのであれば、武器を持つのではなく、神の武具(文化・芸術・神の知恵)を身に着けて体を真っすぐにしていなくてはならないのです。

今年も神様と繋がっていられる一年でありたいと強く願います。そして「アート」という武器をより多く、沢山の仲間と作っていきたいと思いました。

2017年1月9日

文:打木希瑶子